矯正中の食事|気をつけたい食事、おすすめの食事など解説【医師監修】

「矯正中の食事はどうしたらいい?」「おすすめのメニューが知りたい」と気になる方は多いのではないでしょうか。
食事は毎日のことだからこそ、事前にポイントを押さえておきたいですよね。
本記事では、矯正装置の装着・調整後や歯科治療後の食事のタイミング、矯正中に気をつけたい食事、おすすめの食事まで詳しく解説します。
矯正治療への不安解消にぜひお役立てください。
矯正装置の装着・調整後や歯科治療後の食事のタイミング

歯科治療を受けたあと、いつから食事をしてよいのか迷う方は少なくありません。
判断のポイントは、「麻酔がきちんと切れているか」「出血が落ち着いているか」「詰め物や仮詰めが安定しているか」の三つです。
麻酔を使った治療のあとは、唇や頬、舌の感覚がはっきり戻ってから食事をするのが基本です。
一般的な局所麻酔では治療後およそ2〜3時間ほどが目安とされますが、麻酔の種類や効き方には個人差があり、長く効く麻酔ではさらに時間がかかることもあります。
詰め物や被せ物、仮詰めを入れたあとは、材料や接着剤がしっかり落ち着くまで、30分から1時間ほどは食事を控えるよう案内されることがあります。
ただし、具体的な時間は治療内容によって異なるため、歯科医院の指示に従うことが大切です。
また、抜歯や外科的な処置を受けたあとは、麻酔が切れ、出血が落ち着いていることを確認してから、まずはやわらかく刺激の少ないものを少量ずつ口にしていきましょう。
抜歯当日は強いうがいや熱すぎる飲食物、刺激物、飲酒などを避ける必要がある場合もあります。
大切なのは、経過時間だけで判断しないこと。
しびれや出血、痛み、仮詰めの有無といった口の中の状態をきちんと確かめてから食事に移ることが、トラブル防止の第一歩になります。
矯正中に気をつけたい食事

本項目では、矯正中に気をつけたい食事についてお伝えします。
ワイヤー矯正の場合①:装置を壊しやすい、固い食べ物
矯正治療中の食事で気をつけたいのが、固い食べ物です。
歯に装着したブラケット(歯の表面につける小さな金具)やワイヤーは、普段の食事には十分耐えられる強度を持っていますが、想定外の強い力には意外と弱く、外れたり変形したりすることがあります。
特に注意したいのは、前歯でガリッと噛み切る、奥歯で硬いものを噛み割る、氷のように一点に力が集中するような食べ方です。
こうした動作はブラケットに直接負担をかけ、治療が予定通り進みにくくなることにもつながりかねません。
具体的には、厚焼きせんべい、氷、ピーナッツなどのナッツ類、フランスパン、硬いキャンディ、かりんとう、骨付き肉、りんごの丸かじりなどが代表例です。
どうしても食べたいときは、小さく切り分けて奥歯で少しずつ噛むなど、装置に負担がかからない工夫を取り入れるとよいでしょう。
ワイヤー矯正の場合②:装置にくっつきやすい、粘着性の高い食べ物
ワイヤー矯正中に気をつけたいのが、粘着性の高い食べ物です。
粘りの強い食材はブラケットの角やワイヤーの下に入り込みやすく、噛むたびに装置を引っぱる力が働くため、装置が外れる原因になります。
また、いったん装置にくっつくと歯ブラシでもなかなか取れず、汚れが残ったままになりやすいのも厄介な点です。
代表的なものとしては、ガム、キャラメル、ハイチュウ、グミ、お餅、ヌガー、粘りの強いソフトキャンディなどが挙げられます。
これらは装置に絡みついてしまうと取り除くのが難しいため、矯正期間中は基本的に避けるのが安心です。
ワイヤー矯正の場合③:歯や装置にはさまりやすい・絡まりやすい食べ物
ワイヤー矯正中に意識しておきたいのが、歯や装置にはさまりやすい・絡まりやすい食べ物です。
装置を壊すわけでも引っぱるわけでもありませんが、細い繊維状の食材や小さな粒状の食材は、ワイヤーの下、ブラケットの横、歯と歯のすき間などに入り込みやすく、見た目では気づかないうちに残っていることが少なくありません。
具体的には、えのき、ねぎ、ニラ、ごぼう、セロリ、もやし、とうもろこし、青のり、ごま、ポップコーンの皮、細かく砕けたナッツなどが挙げられます。
これらを食べてはいけないというわけではありませんが、食後は鏡で口の中を確認し、歯ブラシに加えて歯間ブラシやフロスも使い分けながら、丁寧にケアすることを習慣にしましょう。
ワイヤー矯正の場合④:着色しやすい食べ物・飲み物
ワイヤー矯正中に押さえておきたいのが、着色しやすい食べ物・飲み物です。
着色というと歯そのものが黄ばむイメージを持たれがちですが、矯正中に特に気をつけたいのは、ブラケット周囲の透明なゴムや白いゴム、パワーチェーン(ブラケットをつなぐ小さなゴムの輪)、樹脂でできた装置パーツの色変化です。
また、プラスチック製のブラケットや白色のコーティングが施されたワイヤーを使用している場合も、素材によっては着色が目立つことがあります。
特に注意したい食べ物としては、カレー、ミートソース、デミグラスソース、キムチ、チョコレート、ブルーベリーなどが挙げられ、飲み物ではコーヒー、紅茶、コーラ、トマトジュース、赤ワインなどが代表的です。
これらをまったく口にしてはいけないわけではありませんが、次回ゴムを交換する調整日の直前に楽しむようにする、飲んだあとは早めに口をすすぐといった工夫を取り入れると、見た目の清潔感を保ちやすくなります。
マウスピース矯正の場合:装着したまま飲食しない
マウスピース矯正の食事の基本ルールは、とてもシンプルで、「食べるときは外す」「水以外を飲むときも基本的に外す」の二つです。
これは、マウスピースの変形や破損を防ぐと同時に、装置の着色や、歯とマウスピースの間に汚れがこもることを避けるためです。
特に注意したいのが、装着したまま色の濃い飲み物や糖分・酸を含む飲み物を口にしてしまうケースです。
コーヒーや紅茶、コーラなどはマウスピースの透明感を損なうことがあり、糖分や酸を含む飲み物は歯とマウスピースの間にとどまって、むし歯のリスクを高めるおそれがあります。
装着中に口にしてよいのは基本的に水だけ、と覚えておくと安心です。
なお、小児矯正で使用する取り外し式の装置や拡大装置の場合も、食事中の取り扱いは装置の種類によって異なります。
お子さまの場合は、装置を外すタイミングや食後の清掃方法について、歯科医院の指示に従うようにしましょう。
矯正中におすすめの食事

本項目では、矯正中におすすめの食事をご紹介します。
主食(おかゆ・雑炊、リゾット、柔らかく煮込んだうどんなど)
矯正中の主食選びでまず意識したいのは、「強く噛まなくても飲み込みやすい形にすること」です。
装置への負担と食事中の痛みを減らせるため、特に矯正開始直後や調整後で歯が敏感になっているときに役立ちます。
白ごはんが噛みづらいと感じる日には、おかゆ、卵雑炊、リゾット、やわらかく煮込んだうどん、クッパ風のスープごはんなどに置き換えるとよいでしょう。
ただし、熱すぎるおかゆやうどんは調整直後のデリケートな口の中には刺激が強すぎることもあるので、人肌くらいに少し冷ましてから口にすると安心です。
主菜(豆腐料理、卵料理、ひき肉料理など)
矯正中の主菜選びのコツは、「たんぱく質をきちんと取りつつ、噛みちぎらなくてもよい料理」を選ぶことです。
肉や魚を大きなかたまりのまま食べると装置に負担がかかりますが、豆腐料理、卵料理、ひき肉料理であれば、口の中でやわらかくまとまり、強く噛まなくても食べ進められます。
たとえば、冷奴や湯豆腐、麻婆豆腐、茶碗蒸し、オムレツ、卵とじ、鶏そぼろ、豆腐ハンバーグなどは、矯正中の主菜として使いやすい料理です。
一方で、骨付き肉やかたく焼き上げたステーキ、スルメ、ビーフジャーキーのように、強く噛み切らないと食べられないものは装置に大きな負担をかけるため、矯正期間中は控えるのが賢明です。
副菜・汁物(スープ・ポタージュ、マッシュポテト、やわらかく煮た煮物など)
矯正中の副菜と汁物は、「野菜をやわらかくし、装置に絡みにくい形にすること」が選び方の基本になります。
生野菜を大きいまま食べると噛む力が必要なうえ、繊維が装置に引っかかりやすくなりますが、煮る・つぶす・細かく切る・スープに仕立てるといったひと工夫で、噛む負担も装置への絡まりも減らせます。
具体的には、ポタージュや具を小さくしたスープ、マッシュポテト、かぼちゃの煮物、やわらかく煮た大根・にんじん・なすなどがおすすめです。
ただし、えのきやニラ、ねぎ、もやし、セロリといった細い繊維を持つ野菜は、調理してやわらかくしても装置に絡まりやすいことがあるため、食後は装置まわりに残っていないか確認しましょう。
その他(ヨーグルト、ゼリー、プリンなど)
矯正中の食生活を支えてくれる頼もしい味方となるのが、ヨーグルトやゼリー、プリンといった口当たりのなめらかな食品です。
噛む力をほとんど使わずに食べられるため、装置をつけたばかりのときやワイヤー調整直後、痛みで食欲が落ちている時期にも無理なく口にできます。
ただし、甘いゼリーやプリンを長時間だらだらと食べ続けると、糖分が装置のまわりに残り、むし歯のリスクを高めてしまうので注意が必要です。
食べたあとは水を飲んで口の中を洗い流す、軽くうがいをする、できれば歯みがきにつなげるなど、ひと手間を忘れずに加えるようにしましょう。
矯正中の食事で気をつけたいポイント

本項目では、矯正中の食事で気をつけたいポイントをご紹介します。
食材の大きさや硬さを工夫する
矯正中の食事では、食材そのものは食べてもよくても「食べ方」を工夫するという考え方が欠かせません。
同じ食材でも、丸かじりしない、小さく切る、やわらかく調理するといったちょっとした工夫を加えるだけで、装置への負担はぐっと軽くなります。
たとえば、りんごやにんじん、パン、肉類などはあらかじめ一口大に切り分けてから食べるようにし、とうもろこしは芯にかじりつかず、粒を外して食べるようにすると安心です。
注意したいのは、前歯でかじる、同じ場所ばかりで噛む、硬いものを一部の歯だけで割るといった食べ方です。
「何を食べるか」と同じくらい、「どう食べるか」も大切な視点として意識してみてください。
調整直後はやわらかい食事を選ぶ
ワイヤーを調整した直後や、歯が浮いたようにじんわり痛む時期には、無理に普段通りの食事をせず、やわらかい料理を選びましょう。
おかゆやスープ、豆腐料理、卵料理など、強く噛まなくても食べられるものを中心にすると安心です。
また、やわらかい食事でも熱すぎるものや味の濃い刺激物は、敏感になった口の中にしみることがあります。
少し冷ましてから、薄めの味つけで楽しむようにするとよいでしょう。
色素の強い食べ物・飲み物は頻度を控える
色の濃い飲食物は絶対に禁止というわけではありませんが、透明や白色のゴム、パワーチェーン、樹脂製の装置パーツなどを使っている場合は、着色が目立ちやすくなることがあります。
カレーやミートソース、コーヒー、紅茶などを口にしたあとは、水を飲んだり軽く口をすすいだりして、色素が装置まわりに留まらないようにしましょう。
また、通院でゴムを交換する前後のタイミングを意識して、色の濃いものを楽しむ日を選ぶのも一つの工夫です。
食後の口腔ケアを丁寧に行う
矯正中の毎日の中でいちばん大切といっても過言ではないのが、食後の口腔ケアです。
ブラケットやワイヤーの周りには、思っている以上に食べかすや歯垢が残りやすく、これを放置するとむし歯や歯ぐきの炎症の原因になってしまいます。
基本の流れとしては、まず食後に水で口をすすいで大きな食べかすを洗い流し、その後、歯ブラシで歯とブラケットの境目を小刻みに磨いていきます。
ワイヤーの下や歯と歯の間といった細かい部分は、普通の歯ブラシだけでは届きにくいため、タフトブラシや歯間ブラシ、矯正用フロスを使って仕上げ磨きを行うのがおすすめです。
こまめに水を飲む
毎日の中で気軽に取り入れられる補助ケアとして意識したいのが、こまめに水を飲むことです。
水分補給は食べかすや糖分、色素を口の中に残しっぱなしにしないための簡単な工夫で、外出先などで歯みがきがすぐにできないときにも役立ちます。
ただし、水を飲むことはあくまで補助的なケアであり、歯みがきの代わりにはなりません。
帰宅後や就寝前には、ブラケットのまわりまで時間をかけて丁寧に磨くことを忘れないようにしましょう。
矯正中に食べ物が挟まった・詰まったときの対処法

本項目では、矯正中に食べ物が挟まった・詰まったときの対処法をお伝えします。
まずはうがいをする
矯正中に「あ、何か挟まったかも」と感じたとき、まず試したいのが水でのうがいです。
装置に手を入れて無理に取ろうとすると、ブラケットやワイヤーを傷めかねないため、最初は道具を使わず、水の力で大きな食べかすを流すことから始めましょう。
通常の矯正中であれば、うがいは食べかすを流すための有効な方法ですが、抜歯後など外科的な処置を受けた直後は、強いうがいによって傷口を守る血のかさぶたがはがれることがあるため、歯科医院の指示に従いましょう。
すすぎ終わったら、鏡でブラケットの周り、ワイヤーの下、歯と歯のすき間をひと通り確認します。
歯ブラシや補助清掃用具でやさしく取り除く
うがいで取りきれなかった食べかすや汚れは、歯ブラシで落としていきましょう。
ポイントは、ブラケットの周囲とワイヤーの上下を意識的に分けて、こすりすぎずに小刻みに磨くことです。
強い力で横磨きをしてしまうと、歯ぐきを傷つけたり、装置にも余計な負担をかけたりするため、軽い力で丁寧に進めましょう。
普通の歯ブラシだけでは届きにくい部分には、タフトブラシや歯間ブラシ、矯正用フロスを使うと便利です。
歯間ブラシを使うときは、無理なく入るサイズを選び、抵抗を感じる場所では強く押し込まないようにしましょう。
サイズ選びや使い方に不安がある場合は、定期通院の際に歯科医院で確認してもらうと安心です。
外出先では携帯用ケアグッズを活用する
学校や職場、外食先など、自宅のように万全のケアができない場面でも、携帯用の歯ブラシ、タフトブラシ、歯間ブラシをポーチに入れておくと安心です。
食後に水で口をすすぎ、洗面所に移動できるタイミングで軽く磨くだけでも、装置まわりの食べかすを取り除きやすくなります。
ただし、外出中は時間に追われてつい急いでしまいがちです。
装置に引っかかった食べかすを焦って強く引っぱるとワイヤーやブラケットに負担がかかってしまうため、軽い力で少しずつ落とすことを忘れないようにしましょう。
取れない場合は無理せず歯科医院に相談する
うがいや歯みがき、タフトブラシや歯間ブラシなど、できる範囲のことを一通り試しても食べかすが取れない場合は、自分で無理に外そうとせず、かかりつけの歯科医院に相談するのが正解です。
痛みや出血、ワイヤーが浮いている感覚、ブラケットのぐらつきといった症状があれば、その情報も含めて歯科医院に状況を伝えるとスムーズです。
つまようじや爪、ピンセットなどで強く引っぱって取ろうとすると、装置が外れたり粘膜を傷つけたりする原因になるため、自己流の無理な対処は避けましょう。
まとめ

矯正治療中の食事では、装置に負担をかけにくい食べ方と、食後の丁寧なケアが大切です。
ワイヤー矯正では、固いもの、粘着性のあるもの、装置に絡みやすい食品、着色しやすい飲食物に注意しましょう。
マウスピース矯正では「食事中や水以外を飲むときは基本的に外す」ことが大切なルールになります。
矯正装置の装着直後や調整後は歯が敏感になりやすいため、痛みがある時期はおかゆやスープ、豆腐料理、卵料理など、やわらかい食事を選ぶと安心です。
また、小児矯正で使用する装置は種類によって取り扱いが異なるため、お子さまの装置を外すタイミングや清掃方法については、歯科医院の指示に従いましょう。
食後は水で口をすすぎ、歯ブラシや補助清掃用具を使って装置まわりを丁寧にケアすることが大切です。
食べかすが挟まったときは、うがい、歯ブラシ、歯間ブラシなどの順に試し、それでも取れない場合は無理せず歯科医院に相談しましょう。
ひらかわ歯科医院では、患者様一人ひとりに寄り添った矯正治療と日常のケアサポートを行っております。
矯正中のお食事やお口のお悩みは、ぜひお気軽にご相談ください。

