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歯の被せ物や詰め物はいつまで使えるのか
目次
被せ物や詰め物の寿命
進行している虫歯の治療を行うと、多くの場合は歯を削ります。
単純に考えた場合、削る面積が小さければ詰め物(インレー)を装着します。
削る面積が広ければ被せ物(クラウン)を装着します。
歯が2本以上連続で無い場合はその両脇の歯を支えとして、連結した造り物の歯(ブリッジ)を装着します。
患者様からよくご質問をいただく事に「頑張って通院して治した虫歯に被せる詰め物や被せ物は、どれくらい持つのか」というものがございます。
現在虫歯治療中の方も含め、これが気になる方はたくさんいらっしゃると思います。
被せ物や詰め物は保険が適用される素材や、保険が適用されない自費診療の素材まで様々ございます。
そして素材ごとに寿命も変わってきます。大まかに分けると次のようになります。
プラスチックの詰め物:約5年
金属の詰め物:約5年
金属の被せ物:約7年
ブリッジ:約8年
セラミック(自費診療):約10年
ここで記載した年数は「平均使用年数」という、装着してから何らかの異変が出てくるまでの平均的な年数です。
きちんとお口の中のケアを行っている方は、上記よりも長くなります。
相対的に見ると、保険が適用されない素材の方が長いのがわかります。
その中でもセラミックで作られたものはとても丈夫で、きちんとケアを行えば20年以上も使用できるとも言われています。
当然ながら、お口の中の状態や食習慣、生活環境、治療を行った医者は人それぞれなので、記載した年数よりも早くダメになってしまった方もいれば、10年以上たっても問題なく使用できている人もいます。
被せ物や詰め物はなぜダメになってしまうのか
お口の中の状態や食習慣、生活環境によって被せ物や詰め物はダメージを受けたり、素材その物が劣化していきます。
特に保険適用の素材は、生活をしていく中での必要最低限の素材なため、セラミックなどの保険適用がされない素材と比べると弱くなってしまいます。
では、なぜ被せ物や詰め物は外れてしまったり、壊れたりするのでしょうか。
【被せ物や詰め物が外れる原因】
作った詰め物や被せ物の破損
プラスチックの詰め物やブリッジの連結した部分、自分の歯と被せ物や詰め物を接着しているセメントなどが、欠けたり折れたりすることで外れることがあります。
自分の歯の破損や虫歯
被せ物を行った歯の内部や詰め物を入れた周囲が虫歯になったり、歯ぎしりや噛み合わせなどの過度な力が加わることにより、被せ物や詰め物が支えられなくなり、外れてしまうことがあります。
【被せ物や詰め物が壊れる原因】
歯ぎしりや噛み合せ
歯ぎしりの症状がある方は「銀歯(もしくは白い詰め物)が取れた」という理由で来院される方がいます。
外れてしまう人は一番奥の歯か、その手前の歯(親知らずを入れない)が多いです。
通常の噛み合せの数倍もの圧が掛かる歯ぎしりは、歯をしならせてしまうほどの強さがあります。
しなった歯は通常とは違った噛み合わせになるため、被せ物や詰め物を入れた時に調節した場所とは違った部分で噛むことが多くなります。
歯ぎしりによる噛み合せは想定外のもので被せ物や詰め物にはイレギュラーな力が掛かり、歯との接着剤が砕けたり、被せ物や詰め物へのダメージも強くなり壊れる原因になります。
歯並び
歯並びが悪いと、どうしても歯磨きでは取り切れない汚れができてしまい、そこから虫歯になり、結果として被せ物や詰め物が外れてしまいます。
また、通常とは異なった噛み合せになるので、過度の力が加わることにより壊れやすくなってしまいます。
歯の本数が減る
歯の本数が減ると、残りの歯に掛かる負担が大きくなります。
残った歯が被せ物や詰め物を行っていると結果として早く壊れてしまいます。
食生活
当然ながら硬いものが好きな方は、それだけ歯に与える負担は大きくなります。
すると必然的に被せ物や詰め物にかかる負担も大きくなるので、壊れやすくなります。
不十分な歯磨き
お口の中のケアが不十分だと虫歯になるのは当然です。
特に詰め物を行った部分は自分の歯との間に微細ながら段差ができます。
そこに磨き残しがあるとジワジワと虫歯は進行していき、詰め物の下が虫歯になってしまいます。
すると、詰め物を支えていた部分が不安定になり、結果として破損に繋がります。
被せ物や詰め物を長く使うためには
当然ながら被せ物や詰め物は長く使えた方が健康面、経済面、時間のロスが少なくて済みます。
では、どうすれば被せ物や詰め物は長く使えるようになるのでしょうか。
先ほど挙げた被せ物や詰め物が壊れる原因を回避していれば、長く使い続けることができます。
最も重要なのは日々のお口の中のセルフケアです。
どれほど精密に被せ物や詰め物を作っても、元々の自分の歯と同様に虫歯になる危険性はあります。
そのため、虫歯になってしまった時と同じようなお口の中の環境では、清潔な状態のお口の中の環境と比べると早く駄目になってしまいます。
詰め物と自分の歯のわずかな段差に歯垢が付着し、そこから徐々に自分の歯が溶けていく「2次虫歯」というものがあります。
そうなると詰め物が合わなくなり、やがて外れてしまいます。
2次虫歯の恐ろしい点は詰め物が外れることだけではなく、詰め物の下で虫歯が進行していくことです。
放置すると虫歯が神経にまで達し激痛を伴うほか、場合によっては神経を抜くことになります。
せっかく治療を行っても口腔内を不潔にしていると、同じ歯が2回3回と虫歯になり、その都度削ることになり、やがては抜歯になってしまいます。
治療した歯は虫歯になりにくくなった訳ではないので、詰め物を長持ちさせるためにはお口の中のセルフケアに気を付けてください。
あとは素材にこだわるのも大切です。
現在、歯科治療において最も優れている素材にセラミック(陶器の素材)が挙げられます。
強度に優れた素材でありセラミック自体が劣化しません。
そのためセラミックと自分の歯との隙間に虫歯ができにくくなります。
また、セラミックは表面がツルツルなので汚れが付きにくいのも特徴です。
そして一番大切なのは定期的に歯科医院に検診に行くことです。
自分ではわからない被せ物や詰め物の緩み具合や、自分の歯との隙間に虫歯ができていないかのチェックも行えます。
定期検診に通うことにより、残っている歯の異常を早期に発見でき、可能な限り少ない処置で治療を行うこともできます。
お口の中の健康管理は自分だけで行うのは難しいので、歯科医院にご相談ください。
まとめ
最近ではコンピューターのスキャンを使用して作る「CAD/CAM冠」という人口の歯もできています。
これは2016年の4月から保険での適用もできるようになりました。
今までは前歯から数えて4~7番目までの歯に被せ物を行う際は、保険適用の素材は銀歯でしたが、4番目と5番目の歯にCAD/CAM冠を保険適用で使用することができるようになりました。
CAD/CAM冠は白いプラスチックの素材のため、銀歯よりも見た目がきれいにすることができます。
現時点では歯科技工士さんが作る被せ物より精度が劣りますが、時代が進むにつれて精度も向上していくと思います。
歯科医院としては最新の技術や素材を取り入れ、トラブルなく数十年と使い続けることができる治療を心がけております。
治療が終わってから何年も歯科医院に行っていない方は、自分のお口の中の清掃もかねて検診に行ってみると、新たな発見があるかもしれません。