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横向きに生えた親知らずに潜むリスクとは
目次
親知らずとは
こんにちは!ひらかわ歯科医院 院長の平河です。
秋も深まり食べ物が美味い季節ですね!
その分、虫歯リスクも高くなりがちです。
美味しいものを美味しく食べるためにも、食べた後はキチンと歯磨きしましょう。
さて、今回は横向きに生えた親知らずの危険性についてお話ししようと思います。
皆さんは親知らずに対してどれだけご存知でしょうか?
まずは親知らずとは具体的にどのような歯なのかをご説明いたします。
親知らずとは大人の歯の中で一番後ろに位置する歯です。
正式名称は「第三大臼歯」と言い、別名で「智歯」とも呼ばれます。
通常の大人の歯は15歳前後を目途に生え揃いますが、親知らずはおよそ10代後半から20代前半から生え始め、
親に知られずに生えてくる歯なので「親知らず」という名前がついた由来があります。
名前の由来はそのままですね・・・
一般的に親知らずは、上の左右奥に2本、下の左右奥に2本あります。
ただし、これには個人差があり、親知らずが4本ない場合や、そもそも生えて無い場合もあります。
これは歯茎に埋まった状態であったり、生えてくるスペースが無かったり、傾いてまっすぐ生えてこないなど
様々なパターンが見られます。
「自分は親知らずが生えてないとよ」
と思っている方。じつは歯茎に埋まっているだけかもしれませんよ。
隠れ親知らずにはご注意ください。
では、そんな親知らずがどのような生え方をするのか。詳しくご説明いたします。
親知らずの生え方
親知らずの生え方はこの3種類!
●まっすぐに生えるパターン
●斜めに生えてくるパターン
●歯茎の中に水平に埋まっているパターン
親知らずは他の歯と同様にまっすぐ生えてくれない場合が多いです。
当院のスタッフの場合は3本が斜めに生えていて、1本がまっすぐ生えていました。
親知らずの多くはお口の中に悪影響を与える原因になるので、抜歯となる可能性が高くなります。
では、親知らずが他の歯に与える悪影響とは何なのでしょうか?
それは親知らず特有の生え方が関係しています。
それでは、1つずつご説明していきます。
まっすぐに生えるパターン
他の歯と同じようにまっすぐ綺麗に生える場合があります。
他の歯ときちんと噛み合っていれば、無理に抜歯をする必要はございません。
もしくは、他の歯と噛み合せができていなかったとしても、歯磨きなどのケアがきちんとできていれば
抜歯を急ぐ必要はないでしょう。
≪他の歯に与える影響≫
虫歯ができて、それが隣の歯にも悪影響を及ぼす。
親知らずは歯ブラシの毛先や歯間ブラシなどが入りにくいため、他の歯と同様にきれいにケアを行うのは大変です。
親知らずと隣り合う歯の間の虫歯には注意してください。
斜めに生えてくるパターン
親知らずの多くは斜めに生えてくるパターンが多いです。
日本人は顎の骨が小さいため、親知らずが綺麗に生えてくるスペースが不足している傾向にあります。
そこに親知らずが強引に歯が生えようとするため、結果的に斜めになってしまうのです。
この斜めに生えるパターンが親知らずの中で最も有害と言えます。
≪他の歯に与える影響≫
とにかく歯磨きがしづらく、虫歯になるリスクが高くなります。
横向きに生えるということは、隣の歯を横から圧迫し痛みを伴うことがあるので、
親知らずに虫歯などの症状が無かったとしても、抜歯を考えた方が良いと言えます。
また、抜歯をする際はレントゲン写真をもとに埋まっている歯の根の形状を確認したり、
神経との距離などを計算に入れながら計画的に行う必要があります。
その為、通常の歯よりも抜歯が困難になり、場合によっては歯を分割するなどして抜くこともあります。
一般的に「親知らずの抜歯は大変だ」という理由はそのためです。
歯茎の中に水平に埋まっているパターン
水平埋伏(すいへいまいふく)と言い、親知らずが歯茎の中に横になった状態で
埋まっているパターンです。水平埋伏は歯が歯茎の外に出ていないため、
虫歯になるリスクがありません。
≪他の歯に与える影響≫
埋まり方によっては、隣の歯を圧迫したり、顎の骨や歯茎に悪影響を及ぼすリスクがあります。
その為、水平埋伏の状態にある親知らずは抜歯する場合があります。
歯茎に埋まっているので、まずは歯茎を開く必要があり、まっすぐには引き抜けないため
歯を分割して除去を行っていきます。
抜歯を行うという点で見ると、最も厄介な親知らずと言えます。
年代で見た親知らずを抜歯するときのリスク
親知らずの抜歯は20歳前後がベスト!
腫れや痛みを少なく抑えられるだけでなく
歯周病や虫歯のリスクに対してのメリットがあるからです。
年齢を重ねるにつれて回復力が衰えるため、傷の治りが遅くなり、
腫れや痛みが長引く傾向にあります。
その為、親知らずの治療は早いうちの決断をオススメします。
それでは年代別のメリットとリスクについてご紹介いたします。
20歳前後で親知らずを抜くメリット
①歯茎の骨の回復が早い
回復力が高いので、傷口の治りが早く、他の年代よりも痛みや腫れが長引かないことが多いです。
②痛みや腫れが少ない
歯が他の年代に比べると比較的柔らかいので、早く歯を抜くことができます。
早く抜ける分だけ骨や傷口が空気に触れる時間が短くなるので、
痛みや腫れのリスクが少なくて済みます。
③骨がキレイに修復されやすい
歯を抜いた後は、その部分に窪みができ、骨や歯肉で埋まってきます。
場合によってはその穴が埋まりきらずに窪みが残ることがあります。
20歳代で抜歯を行うと窪んだ部分が綺麗な状態で埋まる可能性が高くなります。
④歯周病、虫歯のリスクが低くなる
親知らずは歯磨きがやりにくいので、他の歯よりも歯周病や虫歯のリスクが高くなります。
そもそも歯が無ければ歯周病や虫歯にはならないので、症状が進行し、
他の歯に悪影響を与える前に抜歯を行うとよいでしょう。
⑤神経のリスクが軽減される
親知らずの根の付近には血管と太い神経が通る「下顎管(かがくかん)」があります。
抜歯を行う際に下顎管を傷つけてしまうと麻痺を起こしたり出血が多くなるリスクがあります。
20歳代では親知らずが歯の根の方まで完全に出来上がっていることが少なく、
下顎管からも離れている可能性も高くなるので、麻痺を起こすリスクが少なくなります。。
30歳~40歳代で親知らずを抜くリスク
①歯周病、虫歯になっているリスク
年齢を重ねるにつれて歯は歯周病虫歯になるリスクが高くなります。
他の歯にも悪影響を与えている可能性も高くなるので注意が必要です。
②抜歯を行うのに時間がかかる
この年代になると親知らずの歯根が完成している可能性が高くなります。
歯の根が肥大していたり曲がっている場合には、抜歯に時間が長くかかる可能性が高くなります。
③抜歯後の直りが遅い
年齢を重ねるにつれて傷の治りが遅くなります。
また、抜歯後の痛みや腫れなどの症状が強く出る他、それが長引く恐れもあります。
50歳代で親知らずを抜くリスク
年齢を重ねることにより高くなるリスクの他に、50歳代になると
全身疾患がある可能性が高くなります。
高血圧や糖尿病がある方は抜歯を行う際に、感染の危険性が高くなったり、
出血をした際には血が止まりにくくなることがあります。
親知らずを抜いた後の注意点
親知らずを抜いた後も注意することがあります。
歯を抜いた痕は当然ながら傷ですので、
「強いうがい」「歯ブラシで触れる」「舌先で触れる」
などの直接的に刺激を加えることは行わないでください。
極端に辛いカレーのような刺激の強い食べ物も避けた方が良いでしょう。
また、出血を促す行為や傷の治りを遅らせる行為も避けるようにしてください。
具体的には以下になります。
【出血を促す行為】
●激しい運動
●アルコールの摂取
●熱い湯船に長時間つかる
これらに共通することは「血流がよくなる」ことです。
血の巡りがよくなると傷口からの出血に繋がるので、お酒をよく飲む方は飲酒を控え、
お風呂はシャワーだけにして、安静に過ごす事をお薦めします。
【傷の治りを遅らせる行為】
●タバコを吸う
ニコチンなどの有害物質により毛細血管が収縮し血行を妨げます。
すると傷口の治りが遅くなってしまいます。
また有害物質により免疫力が下がり感染症のリスクも高くなります。
●腫れたところを過度に冷やす
親知らずを抜いた後に起こりやすいのが「腫れ」です。
熱を持ちズキズキするので、氷水で冷やした冷たいタオルなどで過度に冷やしてしまいがちですが、
これは避けた方がよいでしょう。
極端に冷やすことは「血流を悪くする」ことに繋がるからです。
すると傷の治りが遅くなるので、冷やしたい時は濡らしたタオルで軽く抑える程度にしてください。
血流を良くし過ぎると出血に繋がり、悪くなると傷の治りを遅らせるので、可能な限り安静に過ごすことをお薦めします。
まとめ
斜めに生えているパターンや歯茎の中に水平に埋まっているパターンの親知らずは、可能であれば早めに抜くことをお薦めします。
痛みや症状が出ていない親知らずを抜くことは面倒に感じると思いますが、将来的なリスクを考えると早めの行動がよいでしょう。
また、レントゲンなどで自分の親知らずの状態を見たことがない方は、歯科医院に相談をしてみるのもよいでしょう。