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歯並びと遺伝はどんな関係があるの?
目次
歯並びは遺伝するのか
歯並びは「遺伝」だけではなく「生活習慣」も関係しています!
というのが、私がこれまでいろんな勉強をしてきてたどりついた結論です。
これから少しだけ細かく説明していきますね。
体質、骨格、免疫力、肌の質、髪や目の色などお子さんがご両親から遺伝として影響を受けるものは数多くあります。
例えば基本的な歯の大きさ、顎の大きさ、成長なども例外ではないはずです。
では、歯並びはどうでしょうか。
まずはご自身とお子さんの、もしくはパートナーとお子さんの歯並びを見比べて見てください。
どちらに似ている気がしますか?
と言われても、その段階では難しいかもしれませんね。
永久歯(大人の歯)が生えてきたら、あるいはお子さんの年齢の時の自分の写真と見比べてみたら少しは予想ができるかもしれませんね。
歯並びは①歯の大きさ ②顎の大きさ ③唇、頬および舌の力が影響します。
①は遺伝の影響 ③は生活習慣 ②はその両方の影響を受けます。
つまり歯並びでイコール遺伝ではなく、遺伝も一要因といった所です。
決して遺伝だけで決まるものではありません。
最近では子供の頃から矯正を行うなど、審美や健康的な発育を目的とした関心が高くなってきています。
結論として「親の歯並びは子供の歯並びに影響があります」。
ただし、親の歯並びが良いから子供の歯並びも心配ないと考えるのはお待ちください。
歯並びの遺伝とは結果論
歯並びに関する遺伝では、先に述べた歯の大きさや顎の大きさといった、骨格としての遺伝子情報が親から子供に継承されます。
ですから必然的に歯並びも似ている可能性が高いと言えます。
この場合の遺伝は両親からの遺伝情報がお子さんに引き継がれるので、どう影響が出てくるのかは、やはり成長を見ていく中でしか判断できなこともあります。
仮に両親が受け口だから、子供も必ず受け口になるかというと、そうではありません。
歯が生え揃い親と比べてみたら、「やはり受け口になっちゃった」というケースは多いですが、それは結果論であり、100%が遺伝と言う訳ではございません。
子供の歯並びにおいて、遺伝の影響は3割程度と言われています。
では残りの7割は何なのか・・・・実は、歯並びを決定づけるのに大きく関係してくる要因は「生活習慣」です。
両親から優秀な歯並びの遺伝子情報を継承したとしても、生活習慣により子供の歯並びが悪くなる可能性は大いにあり得ます。
歯並びに悪影響を及ぼす生活習慣とは
生活習慣とは、具体的には「食生活」「日頃の癖」「姿勢」「虫歯」のことを言います。
想像しやすい例を挙げると、日々の食卓に柔らかいものばかりが出てきて、固いものを食べない。
甘いものを頻繁に食べて歯磨きをしない。
という「食生活」です。
では、日頃の癖や姿勢、虫歯の影響とはどういったものでしょうか。いくつかのパターンにまとめると・・・
≪癖≫
・指しゃぶりで前歯の位置や噛み合わせがズレてしまう
・唇を内側にすぼめる癖で前歯が内側に押されてしまう
・右か左の奥歯だけといったように、片方だけで物を噛むことにとり骨格に悪影響が出て、連鎖的に歯並びにも直結する
・寝るときなどに口呼吸が主になると、舌の位置がおかしくなり、歯並びに影響してくる
≪姿勢≫
・頻繁に頬杖をつく姿勢をとることで顎の骨格が歪み、歯並びに影響してくる
・うつ伏せや横向きに寝ると、床や腕が顎や口周りを圧迫し、それが骨格に影響し歯並びが悪くなる
≪虫歯≫
・虫歯になった乳歯(子供の歯)を抜いたことにより、歯と歯の間隔がズレてしまい、その後から生えてくる永久歯(大人の歯)の歯並びがずれてしまう
意識していない日常の癖や姿勢が、歯並びに影響を及ぼすリスクがあること知ってください。
そして、子供の癖や姿勢をしっかりと見極めて修正に努めてください。
乳歯が虫歯になっても永久歯があるから抜いてしまえばいいという安易な考えもやめてください。
さらに、子供は親のことをよく見ているので、「親の癖」を真似します。
可能な限り子供の生活習慣に気を配ってあげてください。
歯並びに影響を与える食習慣
当たり前のことですが歯は顎の骨から生えています。
そして顎の骨には歯が生えてくるための歯槽骨という部分があります。
歯は歯槽骨から生えてくるため、ものを噛んだ時の刺激は歯 → 歯槽骨 → 顎という流れで伝わっていきます。
現代では、昔よりも根菜類などの硬い野菜を生で食べる機会が減っていきました。
殆ど力をかけなくても嚙み切れたり、場合によっては噛まなくても飲み込めてしまいそうな、柔らかい食べ物が美味しいと思われる傾向があります。
すると歯で食べ物を噛むことが少なくなってきます。
噛むことが少なくなるということは顎の骨に伝わる刺激も少なくなってしまい、結果として十分に発達しない顎になってしまいます。
乳歯から永久歯に生え変わると歯のサイズは大きくなるので、子供の頃に十分に顎の骨が発達しないと歯が生えてくるためのスペースが確保できません。
すると永久歯が小さなスペースから無理に生えてくるなどして、悪い歯並びになってしまいます。
遺伝が歯並びに与える影響もありますが、食習慣からも歯並びに与える影響は大きいので、保護者の方は十分に注意をしてあげてください。
歯並びの悪さが体に与える悪影響
歯並びが悪いと起こる影響はどんなものがあるのでしょうか。
パターンにまとめてみます。
≪虫歯や歯周病のリスク≫
歯並びが悪いと、「歯と歯」や「歯と歯茎」の隙間にうまく歯ブラシを当てることが難しく、磨き残しを作ってしまします。
これが虫歯や歯周病の原因になり、悪化すると炎症を起こして痛みを伴い、最悪の場合、抜歯に繋がります。
≪発音≫
歯と歯の間の隙間が大きいと、そこから空気が抜けて話し辛くなり、発音にも影響を及ぼします。
主にサ行やタ行が言いにくくなる傾向があります。
≪噛むことへの影響≫
噛み合わせが悪くなり、前歯で噛み切ることや奥歯でかみ砕くことが難しく、よく噛まないまま食べ物を飲み込んでしまします。
よく噛まずに飲み込むと、消化を助ける唾液が出ずに、すべてを胃と腸で分解することになり負担を多くかけてしまいます。
また、噛む回数が少ないと脳の血流が悪くなり、運動機能や知能の発達の妨げにもなります。
≪顎への影響≫
噛んだ時に顎にかかる力がバラバラに分散され、顎関節への負担が大きくなります。
「口を開けると耳の周りがカクカク音がなる」といった顎関節症へのリスクにもなり得ます。
≪顔への影響≫
出っ歯などの不正咬合がある場合に、口元のしまりが悪くなり、見た目の印象が悪くなります。
さらに、顎周りの筋肉の発達不足により顔の左右が歪んでしまうこともあります。
これは心理的な問題にもなり、コンプレックスなどの精神的影響を及ぼすことにもなり得ます。
歯並びの矯正治療
矯正治療は体への負担を減らすほか、費用を少なくするためにも早期に進める方がいいと私は思います。
乳歯から永久歯への生え変わり進むのが6歳から8歳で、歯並びの方向性が見えてくるのが8歳くらいです。
歯を支える骨や歯茎は低年齢の方が柔らかいので動かしやすく、将来的に歯を抜かなくてすむように矯正できる可能性が高くなります。
歯が動きにくいと治療が長引くことになり、時間と治療費も多くかかってしまします。
身体面でも費用面でも、早めに行動することをお勧めします。
子供の歯並びのために
歯並びを決めるのは決して遺伝だけではありません。
子供に対してどの様な歯のケアをするのかを決定できるのは親です。
子供に年齢を重ねてもちゃんと使える歯を持ってもらうために、正しい情報を踏まえたうえで、生活習慣の改善に取り組むことが大切だと私は思います。