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そもそも歯に食べる以外の役割があるんですか?
歯の役割は?
って聞かれたら、やはり「食べる」というのが一番に思いつくところではないでしょうか。
すでに矯正した、あるいは始めた方や歯並びの悪さを気にしている方は、「見た目」と答えられるかもしれませんね。
そのどちらも正解です。
その他には、「発音を助ける」、「体の姿勢やバランスを保つ」「ものを噛むことで脳に刺激を与える」など、私たちの毎日の暮らしに不可欠な役割も担っています。
まず、「食べる」ですが、実は、食べ物を口にした後、口の中では食べ物を噛み切る、引き裂く、すりつぶすという3つの働きが行われます。
その3つの働きを行うのに適した形になるよう歯の形もそれぞれ違います。例えば前歯というくくりであって、1番目、2番目、3番目の歯が形が異なることは鏡を見ていただければ一目瞭然です。そのことを考えると人間の体の中に歯はやはり(親知らずを除く)28本すべてが、それぞれの役割を果たして効率よく食べるのに必要だと思います。噛むこと自体でだ液の分泌を促し、食べ物を細かく噛み砕いて消化しやすくします。
次に「見た目」ですが、歯には顔の形を整える役割もあります。それは、歯が内側から唇や頬をサポートしているからです。
歯がしっかり残っている方の願望は、シワも少なく、若々しい印象を受けます。
また、にっこり笑う時には、自然と前歯が見えます。表情を作るのにも一役買っています。そして、「発音を助ける」ですが、歯にも唇や舌と同じように発音を助ける役割があります。前歯に大きな隙間があったり、受け口(下顎前突)や、出っ歯(上顎前突)、開咬(前歯がうまく噛み合わない)といった歯並びに問題がある人は明瞭で正確な発音ができません。
「体の姿勢やバランスを保つ」ために、例えば、スポーツをしているときなどでは、歯をかみしめます。そのことにより首の骨や周りの筋肉で頭部を固定し、より強い力(瞬発力・筋力)を出すことができます。また腹筋や背筋など姿勢を保つ筋肉に適度な緊張を与えることでバランスを保ちます。スポーツ選手は噛みしめすぎで歯が悪くなりやすいので、十分なケアを行なっている方が多いと聞きます。
最後に、「ものを噛むことで脳に刺激を与える」。
よく噛んで食べると、脳の血流が増加することが分かっています。とくに、脳の神経の中の満腹中枢、 孤束核こそくかく (味覚中枢)、 海馬かいば(記憶に関与)、 扁桃体へんとうたい (嗅覚やストレスにかかわる)、 室傍核しつぼうかく (自律神経の中枢)などが活性化していることが確かめられています。つまり、よく噛むことで肥満を防止でき、記憶力をよくし、ストレスが解消されて心が安定する効果が期待できるということです。
記憶の形成にかかわる脳の神経の一部である海馬は、誰でも加齢とともに萎縮します。加齢とともに記憶力が低下するのは自然な現象ですが、海馬の神経細胞は鍛えれば増加することが分かってきています。噛むことで脳への血流が増して、大脳 辺縁系へんえんけい や海馬が活性化されることが分かっており、噛むことが認知症の予防にもつながります。